黒松の剪定を自分でやってみたけど、どこか納得いかない。
上手に剪定したいです。コツはありますか?
松の剪定は初心者でもできますか?
このような悩みにお答えします。
黒松の剪定で悩んでいる人が多いみたいですね。私も教えてもらったばかりの頃は、なかなか理解できず非常に悩みました。
ですが大丈夫です。この記事では、私の過去の経験をもとに黒松の剪定方法を、徹底的に分かりやすく紹介します。
初心者の方に向けた内容になっています。これから黒松の剪定にチャレンジしたい人、もっと上手になりたい人はぜひ参考にしてみてください。
福森造園三代 庭師 庭ラブ管理人
福森 一平
年間250日、100件以上のお寺・個人宅を剪定
技術はあるけどアナログな親方にかわり、受け継がれた剪定の技、庭づくりの技術を発信中。「はじめての人にも分かりやすく」をコンセプトに、庭を愛する人のための情報メディア「庭ラブ」を運営しています。
福森造園公式HP:https://fukumori-zoen.com
黒松(クロマツ)の剪定が劇的に上達する5つのコツ
それでは黒松の剪定のコツを、5つに絞って解決していきたいと思います。
コツ1:下枝を大切にする
松は下枝を残すように意識して剪定することが重要です。
理由は下枝を残すことで木の重心が下がり(注1)、バランスの良い松になるから。
具体的には松の枝をよく観察して上下に芽が重なっているところを見つけたら、上の枝を外して下枝を残すように剪定してください。
上の枝を取り除くことで、下枝についている芽に日光が十分に当たるようになります。
こうすることで、日光不足で枯れることを未然に防ぐことができます。
コツ2:樹形をひと回り小さくする意識を持つ
黒松の剪定において、樹形をひと回り小さくする意識を持つことはとても大切です。
なぜなら、基本的に黒松は樹勢が強い木なので、とくに意識せずに剪定を続けていくと、どんどん大きくなってしまうから。
なので、脇芽(注1)がある場合は積極的に切り戻し剪定(注2)、そして不要枝の除去をおこなう必要があります。
切り戻し剪定については
あまりやりすぎると変になったり、樹形が崩れないか心配…
このように思われる人もいるかもしれませんが、問題ありません。
よほど弱っている松でなければ、切り戻したからといって樹形が崩れることはありません。
むしろ切り戻さない方が間延び枝(注3)が増えてしまい樹形を整えるのが困難になってしまいます。
あとは不要枝の除去です。
不要枝もいくつかありますが、特に逆さ枝(注4)に関しては樹形を乱すので見つけたら切っておくようにしましょう。
常に樹形をひと回り小さくする意識を持っておくことで、小さな脇芽での切り戻しがスムーズにできるようになり、不要枝の除去もできるようになるでしょう。
コツ3:将来の姿をイメージしながら剪定する
将来的にどのような松にしたいのかをイメージして、剪定しましょう。
なぜなら、ある程度は剪定によって樹形をコントロールできるから。
大きく樹形を変えるには何十年の月日が掛かります。
ですが棚(下の写真の赤丸)の大きさであれば数年あれば変えることができます。
具体的には下記のような点をイメージしてみてください
黒松はどのような樹形にしたいかをイメージして剪定することで、上達が何倍も早くなります。
理想の樹形がよくわからないときは、上の写真の松を参考にしてみてください!個人的にはカッコイイ松だと思っています。
コツ4:上から見下ろしながら剪定する
黒松の剪定は上から見ながらやれば上達します。
理由は2つ
- 枝の流れや芽の混み具合がよくわかる
- 腕が疲れない
枝の流れや芽の混み具合というのは、横から見ただけでは非常に分かりづらく、混乱してしまうと思います。
ですが、上から覗くことで
- 「地面が見えないほど芽が重なっているな」
- 「ココは枝がからみあって、ごちゃごちゃしている」
- 「芽が少なくて隙間が空いてるな」
このように枝葉の状況を確認しやすくなります。
上から見て現状の問題を把握することで、解決するべきポイントが分かり、効率よく剪定できるわけです。
また上から見ながら剪定すると、必然的に腕を上げずに作業できるため、疲れにくくなります。
疲れてくると、注意力も散漫になり、剪定に集中できなくなります。
枝葉の状況を上から確認して、楽な体制で剪定をするだけでも上達は早くなるでしょう。
コツ5:道具への投資は惜しまない
道具への投資は決して惜しんではいけません。
なぜなら、黒松の剪定の上達だけでなく安全にも関わるから。
黒松の剪定には最低でも下記のような道具が必要になります。
- 植木鋏
- ノコギリ
- 三脚脚立
- ゴム手袋
この中でも特に三脚脚立とゴム手袋は、適切なものを使うことで上達が早くなります。
黒松の剪定におすすめの三脚脚立
具体的には三脚脚立は脚の長さが調節できるものを使用しましょう。
脚の長さを調整できることで、平らでない場所でも水平に脚立を立てることが可能。
作業しやすい体勢で集中して剪定をすることができます。
普通の三脚脚立に比べると少し高価ですが、安全面・作業性を考えると高い買い物ではないと思います。
ちなみに普通の三脚脚立に伸縮する脚を後付けする方法もありますよ!やり方を知りたい人は、問い合わせからご連絡ください。
黒松の剪定におすすめのゴム手袋
続いてゴム手袋ですが「どうしても素手が良い!」という方は読み飛ばしてください。
個人的には黒松の葉は当たるとチクチクするので、ゴム手袋を使うのを推奨。
最近のゴム手袋は非常に薄いものもあるので、指先の感覚を保ったまま剪定することができます。
おすすめはショーワグローブの組立グリップです。
ゴムが非常に薄く使い易いです。また丈夫なので洗濯して繰り返し使える点も○。
剪定は道具選びがホントに重要です。適切な道具を使うことで、上達は確実に早まります。
黒松(クロマツ)の剪定におすすめのハサミ
黒松の剪定におすすめの鋏を紹介します。
一口にハサミといってもさまざまな種類があるので、一緒に見ていきましょう。
植木鋏
植木鋏は草花や細い枝などの剪定に使われることの多いハサミで、松の剪定も非常にやりやすいです。
持つところが輪になっているので、誤って落としたりする心配なく安心して使うことができます。
おすすめは岡恒の植木鋏
- 切れ味
- 耐久性
- メンテナンス性
全てにおいて非常にバランスが良く、プロの庭師さんにも愛用者が多いです。
A型とD型の2種あり手の大きさや見た目で選べばOKです。
A型…手の大きい人向け
D型…A型より少し小さい、女性や手の小さい人向け
松の剪定以外にも紅葉、ハナミズキ、草花など、いろいろな剪定に使えるので、一本持っておけば活躍すること間違いなしです。
芽切り鋏
芽切り鋏は松の芽切りや中芽をするのに適した鋏。
芽切り鋏の特徴は、細かい作業に特化している所です。
刃先が細くなっていて、葉と葉の間や、茎の隙間に刃先を差し込んで切れるようになっています。
その一方で、刃の厚みも薄く作られて、太い枝などを切るのには向いていません。
大きく分けて2種類あり、それぞれの特徴は下記の通りです。
両刃になっているので切断面が非常に綺麗に仕上がり、皮などの切り残しが無い。
あまり太い枝は切れないので用途は限られる。
無理に太い枝を切ると、刃が欠けてしまいます……涙。(実体験)
剪定鋏と両刃芽切り鋏の中間の鋏。
細かい剪定に向いていて、両刃芽切り鋏よりは太い枝も切断可能。
万能な芽切り鋏、という感じ!
芽切り鋏は松の剪定を上達したい人には、ぜひ使って欲しいハサミです。
用途は庭木では松専用のようになってしまいますが、その分とても扱い易く剪定が楽しくなりますよ。
おすすめは飛庄です。高価な鋏ですがプロにも愛用者が多く品質の良さは折り紙付き。
きりばし
先に紹介した植木鋏によく似ていますが、きりばしは持ち手が輪っかになっていないのが特徴。
おもに京都など関西地方で使われているハサミ。
先に紹介した植木鋏、芽切り鋏と比べると使用している人は非常に少ないです。
扱いが難しく、持ち方も人によって違います。
そんなきりばしですが
- 植木鋏よりも太い枝を切れる
- 芽切り鋏と違ってガシガシ使える
- 切った時の音が好き
- 見た目が渋い
など熱烈なファンがいる鋏でもあります。
扱いが難しいきりばしですが、使いこなせればその魅力に虜になるかもしれません。
気になる人はチャレンジしてみてください!
さらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
黒松(クロマツ)の剪定でよくある失敗3選
ここでは黒松の剪定によくある失敗をご紹介します。
無駄な失敗を減らすためにも、注意するポイントを確認しておきましょう。
よくある失敗1.間伸び枝を増やしてしまう
初心者によくあるのが、間伸び枝を増やしてしまうことです。
間伸び枝が増えてしまうと芽の数が減り、せっかくの黒松も弱々しく見えてしまいます。
枝先の芽だけを剪定していると間伸び枝が多くなってしまうので、枝の途中の小さな芽を育てていくことが大切。
小さな芽に十分に日光が当たるように、枝の整理をおこない大切に育てていきましょう。
よくある失敗2.芽の数を増やしすぎる
芽の数を増やしすぎてしまうのもあまり良くありません。
なぜなら、芽を増やしすぎてしまうと芽同士の感覚が密になりすぎてしまい、日光不足で下の枝が弱ってしまうから。
本やyoutubeなどでは、松の新芽は2芽残すことが推奨されていますが、これを毎年やっていくとどんどん芽の数が増えて行ってしまいます。
そうならないためにも、残す芽の数は芽の密度によっては1芽にしてバランスを整えることが必要です。
芽を大事にしたい気持ちは分かりますが、混み合っているところは思い切って1芽にすることが大切!
よくある失敗3.もみあげの際に誤って芽を落としてしまう
もみあげをする際に誤って芽を落としてしまわないように注意しましょう。
小さな脇芽や弱っている松の芽は、少し触っただけでもポロッと取れてしまいます。
奥から手前へ剪定することで、剪定後の枝が体に触れるのを防ぎましょう。
弱っている松を剪定する場合は、最低限の剪定(古葉を取る程度)にするなど、松の状態に応じた剪定を心がけましょう。
もみあげについては、下記の記事にて詳しく解説しています。
コツをつかんで黒松(クロマツ)の剪定をさらにレベルアップ
今回は黒松の剪定が上達する5つのコツをご紹介しました。
よかったら、参考にしてみて下さい。
基本的な松の剪定については、こちらの記事が参考になると思います。
やっぱり自分では難しそう……
という人は、
下記の記事では、おすすめの剪定業者を紹介しているので参考にしてみてください。
もちろん、岡山県内であれば私たち福森造園に、お気軽にお問い合わせください。
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